🌷庭戸のキャンプ地🌷

創作や生活など、全部のことを喋るよ。

※ミステリにおける顔のない死体についての今昔。包括的なネタバレ!

顔のない死体といえば昔は「被害者の入れ替わり」が定番だったと思っていて、私も第一にそれが浮かんでしまうんだけど、今は「スマホの顔認証を阻止するため」の方が動機として定番化してる気がしてすごい!と思う。時代と共にトリックのあるあるが変わってきている…。畳む
夕木春央『方舟』
あまりにもあまりにも…うおお…。こんなに思考実験に近いミステリ初めて読んだ。純粋なフーダニットでありながら犯人が誰かよりも「何故?」の方が圧倒的に強い、状況の不可解さだけであまりにも面白い…怖かった…。トロッコ問題のようでもあり、人狼とか学級裁判みもあった。正解のない極限世界…。
いや…なにこれ!?言葉が出ない。余韻はない。吐き気みたいな衝撃のみある。
気持ちがしんどくて、今を忘れたい一心で読んだけど、すごく没頭できた…。
続きにネタバレ感想。


追記:
翔太郎はずっと「動機を推理することに意味がない」という態度で、私も納得して読み進めていたけど、この事件はむしろ真っ先に動機だけを当てるべきだったんだと思うと震える。
フーダニットの皮を被ったはちゃめちゃホワイダニット。しかも生存に直結する…「誰が?」より「何故?」が優先される状況って初めて読んだかも。結果論なんだけど…。こんなことって…。

それにしても、自ら殺人を犯すことと、人が死ぬのを待っていることには、超えられない壁があるなと思う。たとえ自分の命がかかっていたとしても。
殺されそうになったから殺したみたいな単純かつ生理的な正当防衛ではなくて、害意のない相手を主体性を持って計画的に殺すのって、なんか感覚として全く違う。
ただ、自分が助かるということは、どっちにせよその他の全員が死ぬということであり、合理的と言われたらそうなんだよな。生存を目指す以上、方法は違えど必ず殺人か殺人に近い行為を経由することになる。それならば。
いやそれにしても…。
何気に、殺人以上にえげつないのは、全員に平等に与えられるはずだった生存のための最重要情報を独占&隠蔽工作してることかも。賢く合理的なんだけど、あまりにもアンフェアというか…。
もし地上で全てが詳らかになり、裁判が起こったときには、全くの無罪というわけにもいかないんじゃないかと思う。確かに極限状況で、仕方なかったんだけど、心証が悪い気がする。首なし死体とか。畳む
#館
今日はダリアの日だった。『暗黒館の殺人』というミステリー小説に出てくる作中記念日なのです。私の心の変な形の隙間にすっぽり嵌ってしまう謎の引力があった。推理小説は構造を楽しむ感覚のほうが強いが、暗黒館は物語として囚われてしまった。作中で描かれていることだけでもとんでもないのに、「作中で描かれていない物語」の穴に落ちてしまって帰ってこれなかった。いつまでも大好き。
奇跡的にいっこもネタバレがない漫画があったので失礼します。
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ずいぶんぽやっとしたかわいい漫画でふふ…てなった。(※原作小説はこんな雰囲気ではない😂)2019年でした。畳む
wave boxお返事しました!返信不要の方、スタンプの方も本当にありがとうございました✨
スペースまたして欲しいって言ってもらえて嬉しいです。(私はそういうのを全部真に受けます)喋れそうだったら、タイミングを見てやろうかなと思っています!
話題提供頂けると嬉しく思います☀️良ければ、wave box に入れてあげてください🙏話題の種類はなんでも大丈夫です!
短いですが、すごく久しぶりに文章を書いたので良かったら読んであげてください。#よはなよ∞

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口にはできない

「なんだよ、こんな終わり方」
「つまらんかったな」

オレはこういう話は好きじゃない。流行ってるからって観たけど、こんなに後味の悪い話だとは思わなかった。ラブストーリーってのは、こうじゃいかん。もっと、ドキドキして、キラキラして、幸せな気持ちになるようなのじゃないと。
洋平からの返事はなかった。洋平はまだエンドロールを眺めていた。テレビの画面がビカビカ不規則に反射して、洋平の顔を青白く照らしていた。頬を流れる水が少し光っていた。洋平は泣いていた。全然、なんでもないみたいな顔で、黙って泣いてた。

洋平、泣いてる。

オレはそのとき、なんだか動けなかった。

「確かにつまんなかった。ありきたりすぎ」
洋平がやっとこっちを向いて、眠そうに笑った。じっと見ていたら、洋平は長袖を引っ張って適当に涙を拭った。
「洋平、なんで泣いてんだ」
洋平はすぐに返事をしなかった。
「カンドーした…?」
全然、あくびって感じじゃなかった。
「いや、つまんなかったって。でもこの曲はいいな」
洋平はそう言いながら、横目でこっちを見て笑った。
「ま〜花道には早かったかもね」
馬鹿にされているのはわかったから、一回頭突きはしておいたが、それ以上何か言う気にもなれなかった。

その晩、オレは中々寝つけなかった。こんなに長く一緒にいるのに、洋平がこんなふうに、本当に泣いてるところを今まで見たことがなかった。そのことに初めて気がついたからだ。センチメンタルをやるのはいつだって、オレの方だった。
洋平のことはなんでも知ってる気でいたけど、そうじゃなかったのかも。だからって別に、どうというわけでもないが、変な、落ち着かない気持ちになった。

アメリカ留学の話は、すでに洋平にしておいた。真っ先に知らせてやったんだ。来年の夏には、オレは海の向こうだって。洋平は顔がくしゃくしゃになるくらい笑って「やったな!天才」と言った。嬉しそうな洋平を見てると、オレはますます自分が誇らしくなる。
アメリカに行くと決まってから、洋平はオレが欲しがるままに「大丈夫」とか「お前ならやれるよ」とか、そんなことばかり言った。いつも、それが欲しかった。洋平にそう言われると、不思議と自信が湧くからだ。でも今回ばかりは、段々としっくりこなくなった。かといって、他になんて言ってほしいかもわからなかった。洋平はとうとう、最後の最後、ついさっき、空港に見送りにきたときまでそんな調子だった。オレを励ますような、安心させるような笑顔。オレはそれが、何故かすごく不満だった。オレが不満なことに、たぶん洋平も気付いてたけど、困ったように笑うだけだった。

空の上で1人になってから、妙に頭の中がシンとしている。消灯時間になって、機内の照明が絞られたけど、大して体も動かしてないもんだから眠気はこない。
たぶん……さみしいって言ってほしかった。オレがアメリカ行ったら、さみしいって。行くなって言ってくれたって、別に良かった。そうしたらオレは、しょうがねーな洋平クンはって、やっぱりオレがいないとさみしいか。そうだろう。アメリカなんてすぐだ、はやく会いに来いって言って、それから未来の話ができたんだ。オレは洋平と、そういう話がしたかった。

機体の窓にうっすら反射して映った、自分の顔を見ていると、あの晩の洋平のことが頭をよぎった。青白い光の点滅の中、黙って泣いてた洋平。

「さみしいって、一度でも口にしてしまったら」
たしかそんなような歌だった。エンドロールで知らない歌手がそんなことを歌っていた。口にしてしまったら?続きは知らない。覚えてない。映画はつまらなかった。つまらない映画だった。
何故か鼻の奥が熱くなって、涙が出てきた。青白く点滅するビデオの光の中で、なんでもないような顔で泣いてる洋平。
違う、寂しいわけじゃない。オレはこっから始まる全部のことに、すげー興奮してんだ。なんでだよ。

それからふと気がついた。たぶん洋平は、あの時にもう済ませてたんだ。あの時に…あの時から?あの辺りからもう。
ほとんど確信だった。とっくに済ませてたんだ。オレが今、泣いてる分、洋平はもう済ませてたんだ。勝手に、ずいぶん前から、ずいぶん時間をかけて、1人で済ませてたんだ。こんなときまで、なんて段取りのいいヤツなんだろう。バカじゃねーのか。
青白く点滅するビデオの光。去年の冬の光。長袖を引っ張って顔を拭った、ずっと前の洋平。
ムカつく。今すぐこの機体を飛び降りてアイツを殴ってやりたい。今すぐ。
ズボンの裾をぎゅっと握って、その衝動をやり過ごすしかなかった。アメリカへの、バスケへの、燃えるような期待も不安も、今だけは消し飛んでしまったようだった。ただ寂しくてたまらなかった。

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この後付き合って添い遂げるとも知らず、センチメンタルしてる無自覚?の2人。畳む
インサイド・ヘッド2観てきた。
どの感情も「ライリーのことが大好き」って言うのがほんまにほんまに泣けてしまう。そういう描写がくるたびに耐えられんくなる。シンパイも、暴走してしまったけど全部ライリーのためにやってるのがほんとにわかるから…涙

自分に対して許しが与えられる映画だなーって思う、めっちゃ良い映画だ。ムカついたり、泣いたり、不安になってばかりのときも、それは自分を守るために、意味があってそうなってるんだって思うと許しの感覚がある。危機に対処してる最中なんだと思うといいのかも。メタ認知が鍛えられる映画だ。
ライリーの感情達がみんなライリーを心から大切に思ってるの、無償の愛すぎるし、自分を愛するとか大切にするとか…自己肯定感ってこういうことなのかなあ。イカリとかダリィとかマイナスな感情を持ったときも、これも私のための感情だからって、そうなってる自分を許す。正しいかどうかはともかく、私は私の味方なんだという感覚。畳む
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